ルビスコくんの日記

博士学生の日記です。考えたこと、学んだことを書きます。

生活のこと

昨日ローソンで買ったカフェオレと菓子パンを食べて、星野源のエッセイ『そして生活はつづく』(文春文庫)の続きを読んだ。これ、とても面白い。札幌で暇つぶしに本屋で買ったのだが、当たりの本だ。買ってよかった。
 普通の生活っていうのは誰にでもあるものだ。華やかなイメージのある芸能人でも、一般人と同じように家でご飯を食べるし、寝るし、排泄もする。いや、たとえ家がないホームレスの人でも、日々の生活はたしかにあるのだ。
 誰もが生活からは逃れられない。著者の星野源さんは、仕事を忙しくすることで生活の部分を極端に減らして、体を壊してしまい、その体験から「生活から逃げられないならいっそ、この生活の中に面白さを見出したい」という考えに至ったそうだ。そしてこの本には、日々の生活の中で感じたことが面白おかしく書いてある。
 インターネット、とりわけSNSが発達したことで、誰でも自分のことを発信できるようになった。そこでは日常よりも、「俺はこんなすごいことをした、こんなとこに行った」といった、自らの特殊性や非日常を切り取った投稿が溢れている。そんなものを見ていると、たまに自分はつまらない人間だ、無能な人間なんだと思えてくるときがある。そういうときこそ、生活に逃げよう。大して美味しくない料理を作って、食べて、お皿を洗おう。そしてできれば、その中から何か発見しよう。今日は卵焼きにちょっと多めに出汁をいれてみたら案外美味しかったとか、故郷にいるおばあちゃんに電話したら「あんた、ホンマに性格ええ子に育ったなあ」とほめられたこととか(笑。あまり特殊な体験をしていない(ように見える)著名な作家やアーティストがいるが、僕は、彼ら/彼女らは日常生活から創造性のカケラを集めているのだと思う。実際、村上春樹氏は『職業としての小説家』でそんなことを述べていたし、宇多田ヒカル氏も活動再開時のインタビューで似たようなことを言っていたと思う。(自分にとって)特殊な体験をしなくても、彼ら/彼女らにとっては生活が作品に直結するのだ。
 そしてできれば、そんな発見を言葉で記録できたら、と思う。思ったこと、日々の生活の中で感じたことはそのまま時の流れに捨ててしまってもいいのだけれど、この本のように、文字にするとこんなにキラキラと、彼(星野源さん)の日常が輝いていたことがわかる。もちろんその輝きは彼の感性と文才によるものが大きいと思う。普通の人が同じようなことをしてもこんなに魅力的なものは生まれないだろう。でも、我々にはしょーもない文章を書く権利がある。さらに、別に誰に読まれなくたって、インターネットの世界の片隅に、誰でもよめる形で駄文を残せる時代なのだ。まあ、インターネットで公開しなくてもいいけど。
 ただ、できれば、一年に一つくらいは、どんな形であれ誰かの役に立つものをかけたらいいなあと僕は思っている。

 

そして生活はつづく (文春文庫)

そして生活はつづく (文春文庫)