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ルビスコくん空を飛ぶ

博士学生(D1)の日記です.日記に加えてプログラミング(R)のメモ書きもします.

本当に大切なこと

僕はこれまで,研究をするうえで「自分に何ができるか」を重視してきた.プログラミングや測定機器の扱い方や論文の書き方など,研究の遂行に必要なテクニックをひとつひとつ獲得していけば,いい研究者になれると考えていた.しかしそれらは「自分で考える力」という土台があって初めて有効に活用されるのであって,テクニックばかり身につけても僕が目指す本当の高みには絶対に到達できない.そのことに気づかせてくれたのは僕の周りにいる人ではなく,ネットで知ったある研究者だ.

もちろんそれらのテクニックはなしでは研究はやっていけない.それはそれで必要なものだし,それがあって初めて考えるための材料,つまりデータがとれるのだから.ただ,僕は今までデータを見てじっくり考える量が少なかったように思う.生データを取って,それを加工したり可視化したりモデルで他の変数を計算したりすることまでは一生懸命やるのだが,そこまででけっこうな時間をつかってしまいそれでやった気になってしまっていた(その意味では,データの加工にそこまで時間の掛からない実験系の人たちのほうがしっかり対象について考察しているのかもしれない).

ラスコー展

昨日,仙台市にある東北歴史博物館の「ラスコー展」に行ってきた.知っている人も多いかもしれないが,ラスコーの洞窟壁画は1万5000年前に我々同じホモ・サピエンスクロマニョン人と呼ばれる人々が洞窟の壁に描いた動物や記号,ヒトなどの絵画群のこと.

彼らは明らかに絵を描くためだけに洞窟に入っていった.もちろん洞窟の中は光など一切ないし,絵を描くためにランプに獣脂を灯さなければならない.絵の具もつくらなければならない.どうして彼らはそんな面倒なことをしてまで絵を描いたのだろう?という疑問が,展示を見ていて自然と湧いてきた.そしてその疑問は,「どうして我々は絵を描くのだろう?」という問いとほぼ同義である.

館内の展示で興味深かったのが,「人類(新人)はアフリカで生まれ,ユーラシア大陸に渡って世界に分布するようになったが,ヨーロッパに分布したクロマニョン人だけが絵を描いたのではなく,多くの地域で独自に絵が描かれたことから絵を描くという行為は人類にとって普遍的なものなのかもしれない」という考察(ちょっと引用が不正確かもしれませんがご勘弁ください).現代では,絵を描くことつまり芸術は,芸術家を除いてあくまで趣味や娯楽の範疇に収まっているが,そんな芸術家でない僕達にも,芸術家たちと同様に芸術という行為は宿命的に刻み込まれているのだ.そう考えると,すこし近寄りがたいオカタイ芸術はもっともっと身近になるはずだ.

運動方程式

今日久しぶりに高校物理の参考書を読んだのだけど,運動方程式について少し思うところがあった.ニュートン運動方程式,書くまでもないが

ma = F

「質量mの物体に,Fの力がかかると,物体には受けた力に比例して加速度aが生じる」というちょーシンプルで有名な法則.でもよくよく考えてみるとこれってなんで成り立つのかよくわからないよなって今日参考書読みながら思った.もちろん感覚としては理解できる.強い力でものを押すと勢い良く動き出すし,逆にそっと静かに押すと物体もゆっくりしか動かない.でもなぜそうならなければいけないのかって,もうわからなくない?

そもそも僕は致命的な勘違いをしていた.結局この式は数学のように公理から順を追って論理を進めた末に成り立つものではなくて,「根本的になぜそうなるかは分からないが実験から得られた法則」なのだ.でもそうだとすると,この関係が成り立たない場合があるかもしれない.もしかしたら今僕が手元にあるマウスを放り投げても,上の法則は成り立たないかもしれない(もちろんそんなことは絶対にない).実際,例えば量子力学など,運動方程式が成り立たない系は存在する.その場合は,運動方程式の代わりになる根本的な法則を再び実験によって見つける必要がある.「実験から普遍的な法則を見つける」のが物理なのだ.

僕が面白いと思ったのは根本原理がわかっていない現象を根拠にしてあらゆるもの(学問体系やそれをもとにしたすべての技術)をつくってしまっていることだ.生物にしても同じようなことが言える.生命の起源はまだ謎に包まれている(まだというのは語弊があって,厳密には38億年前にタイムスリップするしか確かめる方法はないという意味では検証不可能なのだけど)が,現に生物は誕生して今地球上で生きている.結局僕らを取り巻いている世界の一番の根っこはわかっていないし,そもそも僕ら自身のこともわからないんだな.

部活の経験は研究にいきる?

この前,ある教授が「僕の経験上,部活してたやつは本当に研究よくできる場合が多いんだよ」ということを話していたので,少し部活と研究について考えてみようと思う.確かに,その教授の言うとおり,学部時代に部活に打ち込んでいた人はよく出来る人が多い気がする.僕の指導教官は学部どころか大学院のときもスポーツに少なからぬ時間を割いてしかも全国大会に出たレベルだと聞いた。そこまでのレベルじゃなくても、学部のときに部活/サークルめちゃくちゃ頑張ったってひとは多い。もし部活の経験が研究にいきるとしたら以下のようになるのではないか。

● 目的意識が染み付く

部活というのは、何かのわかりやすい目標(例えばスポーツ含む競技だと「試合に勝つ」、芸術系だと「定期演奏会、展示を成功させる」など)に向かって努力していく活動である。すると、その目標を達成するために何が足りなくて、それを克服するためにはこれから何をどのような方法でどういう計画を立てるべきか、ということを、学生が主体になって考えることになる(ちなみにこれは大学の部活で顕著だと思う。高校でももちろんそういう側面はないことはないが、だいたいが顧問の先生の言いなりになっている)。卒論修論博論は明確な時間制限があるし、博士号を取ったあとでも近年は短期的にアウトプットを求められるので、こういう習慣が卒研を始める時点で持っていられると強い。

● 集中力と体力がつく

よく高3の夏の大会までずっと部活やってたやつが引退して本気で受験勉強し始めたら直前でめちゃめちゃ成績伸びるじゃないですか。あれです。スポーツをすることで集中力とそれを持続させるための体力がつくというのはみなさん納得していると思う。iPS細胞で有名な山中伸弥氏も大学まではラグビーをしていて、大学院時代は相当なハードワーカーだったらしい。やはり体力は大事。

● 何かに夢中になれる癖がつく

これは研究だけじゃなくて人生でとても大事なことだと思う。とにかく試合なり演奏なりで結果を残したい一心で何かに取り組んで、それを楽しむというのが癖になると、その対象が研究になれば楽しく研究が進むんじゃないかな。まあ、「対象になれば」ですが。

ここまで書いて思ったけど、これって研究だけじゃなくて研究以外の仕事や人生全般にとってすごく有益じゃないか。ただし、特に一つ目の項目に言えるのは、どれだけ頭を使ったかで部活から得られるものが断然異なるということ。私みたいに、サークルに入って週に3回も活動をしていても何となーく練習してみんなと仲良くなってハッピーみたいな取り組み方だと目的意識は身につかない(身につかなかった)。みんなをまとめ上げるキャプテン・部長だとか、何かの実行委員でサークル内での仕事をこなすなどの任務が人を成長させるのだと思うし、そうじゃなくても自分の技術の向上に頭脳を働かせて取り組む過程がその後でも使える思考力を鍛えるのだと思う。

 

 

僕のおじいさん先生に会いました

この前,研究室に一人の初老のおじさんが訪問してきた.誰かなあと思ってとりあえずあいさつしたところ,指導教官から「私の師匠のT先生です」と紹介され,驚いた.光合成科学の業界では有名人だ.そして,僕の指導教官の師匠だから,僕はその先生の孫弟子の一人というわけだ.そしてT先生と研究室でお酒を飲むことにした.

すると,T先生は「名前はなんていうんですか?」と聞かれたので僕の名前を答えたところ,「○○君ね,ちょっとメモしておこう.忘れっぽいんでねえ.」といってスケジュール帳を取り出して僕の名前を書いてくれた.孫弟子とはいえ,こんなしょうもないいち学生の名前をわざわざ覚えようとしてくれるなんて,「この人は人との出会いを本当に大切にする人なんだなあ」と思って,T先生の人徳が出会って数分で垣間見られて,少し感動すら覚えてしまった.「僕はねえ,もう研究以外の仕事は断ってねえ,自分で一人で実験してるんですよ.この年になって○○を初めて習いましたよ.」と本当に目を輝かせて楽しそうに話しているのを見て「こういう人になりたい!」と思わせてくれたのでした.

知識の整理

この二年間、自分で試行錯誤しながらいろいろな知識を、観測・実験・論文・教科書・研究者や技術者のHPから学んできた。特に光合成クロロフィル蛍光については一生懸命勉強した。そこで、これまで身につけてきたことを自分の言葉で、外に形として出してみたいと最近考えるようになった。僕の次の指導教官は自分のHPに光合成に関する知識をすごくきれいにまとめていて、僕もそれを読んで勉強したこともあるし光合成を研究している人なら一度はみたことがあると思う。業績には表れないところでもそんな貢献をしているなんて本当に偉大だ。この4月からそんな先生と一緒に研究できるのが楽しみでしょうがない。本題に戻ると、僕もあんなに立派なものは作れないけど、自分の知識を整理するという意味でも、自分のHPに書いてみようと思う。自分で解説をかいてみるのって絶対勉強になると思う。

2017年の抱負

もう2月になろうとしていますが,2017年の抱負を書きたいと思います。4月からは新しい環境になるので,早く適応することがすごく重要。

 

・去年の振り返り

去年は研究と観測計画をほぼすべて自分で考えて実行したが,結局思っていたようには研究は進まず(といってもそこまで悪くなったわけではない),観測結果と簡単なモデルを使った方法に切り替えた。ボスの「モデルも使ってみたら」の一言でモデルをいじり始めてみたのだが,これが面白かった。モデルを使い始めてから半年も立ってないが,データの見方も変わってきたのも良い変化だと思う。自分としては,大変な観測にモデルにと,よく頑張ったと思う。あと,学振に採用内定してけっこう自信がついた。

 

・研究

修論を頑張る。修論の研究は自分としては面白いと思っているがいかんせん使っているモデルがヘボいのでどこまで説得力を持たせられるか不安。4月からの研究については次の指導教官とほとんど話してない(←やばい)ので,2月3月にとにかく連絡をしまくって詰めないと。

 

・論文

論文を2本出したい。1本は去年リジェクトされてしまった論文で,追加実験を加えて再投稿して受理をもらう。これはマスト。それと,今書いている修論の内容でもう一本書いて,夏までに投稿したい。4月からは別の大学の研究室に新しく入る予定なので,今年度中に第一稿までは仕上げたい。

 

・勉強

去年別のラボの人と話していて,自分には物理の素養がないことに気づいて,量子化学を勉強しようとしたけど学部レベルの数学もわからず全く理解できなかったことが悔しかった。まずは数学から始める。それと,光合成,生態系生態学,微気象学なんかも良い教科書があるようなので勉強したいなあ。これは'毎日'やります。

 

・プログラミング

今年1年でRでできることが増えたので,もっとRを使いこなしたい。で,欲張ってC言語でも基本的なことはできるようになりたい。

 

・睡眠

'毎日'7時間以上寝る。睡眠時間を削るようなことは絶対しない。